【完全解決】uv + Docker統合エラー解決ガイド:`uv.lock`問題から環境構築まで

【完全解決】uv + Docker統合エラー解決ガイド:`uv.lock`問題から環境構築まで

こんにちは!Pythonの高速パッケージ管理ツール「uv」をDockerで使おうとして、error: Unable to find lockfile at uv.lock というエラーに遭遇したことはありませんか?

この記事では、私自身が直面したこの問題を徹底的に調査し、解決に至るまでの全記録をまとめました。uvのワークスペース機能やDockerのビルドコンテキストといった根本原因から、具体的な解決策、ゼロからの環境構築手順、さらには本番運用を見据えたベストプラクティスまで、網羅的に解説します。


🎯 この記事で解決できる問題

この記事は、以下のような悩みを持つPython開発者、Docker利用者、uv初心者~中級者の方を対象としています。

  • 主要エラー: error: Unable to find lockfile at uv.lock を解決したい。
  • ✅ Dockerビルドでuvがうまく動かない。
  • ✅ uvのワークスペース機能が原因で、意図しない場所に uv.lock が生成される。
  • ✅ pip/poetryからuvへの移行を検討しており、Dockerとの連携方法を知りたい。
  • ✅ モダンで高速なPython開発環境をDockerで構築したい。

🚨 よくあるエラーメッセージと症状

まずは、具体的なエラー症状から確認しましょう。

エラー1: Dockerビルド時のlockファイルエラー


error: Unable to find lockfile at `uv.lock`. To create a lockfile, run `uv lock` or `uv sync`.

症状:

  • ローカル環境では uv lockuv sync が成功する。
  • しかし、docker build を実行すると上記のエラーで失敗する。
  • uv.lock ファイルが見つからない、と怒られてしまう。

エラー2: ワークスペース認識問題

--verbose オプションを付けて実行すると、以下のようなログが出ることがあります。


DEBUG Found workspace root: /path/to/parent/directory
DEBUG Adding discovered workspace member: /path/to/parent/directory/project

症状:

  • 期待しているプロジェクトディレクトリ(例: `project/`)に uv.lock が生成されない。
  • なぜか親ディレクトリに uv.lock が作成されてしまう。

🔍 問題の根本原因

これらの問題は、主に「uvのワークスペース機能」と「Dockerのビルドコンテキスト」という2つの仕組みの相互作用によって引き起こされます。

1. uvのワークスペース機能

uvは、pyproject.toml が存在するディレクトリを探索し、自動的にワークスペースのルートを検出します。例えば、以下のような構造の場合:


parent-directory/         ← uvがワークスペースルートと認識
├── uv.lock             ← 結果、lockファイルがここに作成される
├── pyproject.toml      ← 親プロジェクトの設定
└── sub-project/        ← 子プロジェクト
    ├── pyproject.toml  ← 子プロジェクトの設定
    └── Dockerfile      ← ここからビルドするとlockファイルを見つけられない

この挙動により、Dockerfileが存在する sub-project/ ディレクトリ内に uv.lock が生成されず、Dockerビルド時に「lockファイルが見つからない」というエラーが発生します。

2. Dockerのビルドコンテキスト

Dockerは、ビルド時に指定された「ビルドコンテキスト」(通常はDockerfileがあるディレクトリ)内のファイルしかコンテナにコピーできません。
そのため、たとえ親ディレクトリに uv.lock が存在していても、Dockerfileから COPY ../uv.lock . のように親ディレクトリのファイルを参照することはできません。


🛠️ 解決方法:段階的アプローチ

原因が分かれば、解決は目前です。状況に応じた3つの解決策を紹介します。

解決策1: プロジェクト構造の最適化(強く推奨)

最もクリーンで推奨される方法は、uvプロジェクトを他のプロジェクトから独立させることです。


# 1. 新しいプロジェクトディレクトリを作成
mkdir my-python-project
cd my-python-project

# 2. uvプロジェクトを初期化
uv init backend --app
cd backend

# 3. 依存関係を追加
uv add fastapi uvicorn

# 4. lockファイルが同じディレクトリに存在することを確認
ls -la uv.lock

この結果、以下のような理想的な構造になります。


my-python-project/
└── backend/              ← 独立したプロジェクトルート
    ├── pyproject.toml
    ├── uv.lock           ← lockファイルも同じ場所!
    ├── Dockerfile
    └── app/

この構造にすることで、uvのワークスペース検出機能が意図通りに働き、Dockerのビルドコンテキスト問題も発生しません。

解決策2: Dockerfileの完全修正

プロジェクト構造は最適化されている前提で、Dockerfileを正しく記述する方法です。


# Python 3.11 slim イメージ
FROM python:3.11-slim

# 作業ディレクトリ設定
WORKDIR /app

# UV インストール
RUN pip install uv

# 重要:依存関係ファイルを正しい順序でコピー
COPY pyproject.toml .
COPY uv.lock .            # ← これが最重要!lockファイルを明示的にコピー
COPY .python-version .

# lockファイルベースで依存関係をインストール (--frozen)
RUN uv sync --frozen

# アプリケーションコードをコピー
COPY ./app ./app

# ポート設定
EXPOSE 8080

# アプリケーション実行
CMD ["uv", "run", "uvicorn", "app.main:app", "--host", "0.0.0.0", "--port", "8080"]

重要なポイント:

  • COPY uv.lock . を必ず含めること。
  • uv sync --frozen を使い、uv.lock に基づいて厳密に依存関係をインストールすること。
  • ✅ 依存関係のファイルコピーとアプリケーションコードのコピーを分離することで、Dockerのレイヤーキャッシュを最適化できます。

解決策3: 既存プロジェクト構造での対応(非推奨)

どうしても既存のプロジェクト構造を変更できない場合の次善策です。

  • 親ディレクトリのlockファイルをコピー: ビルドコンテキストを親ディレクトリに設定し、docker build -f sub-project/Dockerfile . のように実行することで、COPY sub-project/pyproject.toml .COPY uv.lock . のようにコピーできますが、複雑になります。
  • --frozen を使わない: RUN uv sync を実行すれば、uv.lock がなくても pyproject.toml から依存関係を解決してくれますが、ビルドが遅くなり、依存関係の厳密な再現性が失われます。

🚀 実践:ゼロからの環境構築手順

ここでは、解決策1と2を組み合わせた、ゼロからの具体的な構築手順を示します。

STEP 1: uv環境の確認・アップデート

uvは活発に開発されています。まずは最新版(0.8.0以降を推奨)にアップデートしましょう。


# バージョン確認
uv --version

# Homebrewの場合
brew upgrade uv

# pipの場合
pip install --upgrade uv

STEP 2: プロジェクト作成


# プロジェクトディレクトリ作成
mkdir photo-upload-project
cd photo-upload-project

# uvでバックエンドプロジェクトを初期化
uv init backend --app
cd backend

# 依存関係を追加
uv add fastapi uvicorn python-dotenv

# lockファイルが生成されたことを確認
ls -la uv.lock

STEP 3: 簡単なFastAPIアプリケーションの実装


# app/main.py
from fastapi import FastAPI
from datetime import datetime

app = FastAPI(title="UV + Docker Integration Test")

@app.get("/")
async def health_check():
    return {
        "status": "healthy",
        "timestamp": datetime.now().isoformat(),
        "message": "uv + Docker integration successful!"
    }

@app.get("/health")
async def detailed_health():
    return {
        "uv_version": "0.8.0+", # Your uv version
        "python_version": "3.11",
        "docker_integration": "working"
    }

STEP 4: Dockerfileの作成

解決策2で示したDockerfileをプロジェクトルート(backend/)に作成します。

STEP 5: ビルド&実行テスト


# Dockerイメージをビルド
docker build -t uv-docker-test .

# コンテナを実行
docker run -p 8000:8000 uv-docker-test

# 別のターミナルから動作確認
curl http://localhost:8000/
# {"status":"healthy",...}

curl http://localhost:8000/health
# {"uv_version":"0.8.0+",...}

これで、uvで管理されたプロジェクトがDockerコンテナとして正常に動作することを確認できました!


🔧 トラブルシューティング

それでもうまくいかない場合のチェックリストです。

  • 問題A: uv lock でlockファイルが意図しない場所に作成される
    • uv lock --verbose でワークスペースの検出状況を確認し、プロジェクトが独立しているか見直してください。
    • 一時的に uv lock --no-workspace でワークスペース検出を無効にする方法もあります。
  • 問題B: Docker buildでlockファイルが見つからない
    • Dockerfileに COPY uv.lock . が含まれているか確認してください。
    • docker build . を実行するカレントディレクトリ(ビルドコンテキスト)が正しいか確認してください。
  • 問題C: .env ファイルなどの設定ファイルエラー
    • .env ファイルの値にインラインコメント(# 10MB など)が含まれているとエラーになることがあります。コメントは別の行に記述してください。

⚡ パフォーマンスとベストプラクティス

uvは非常に高速です。poetryと比較して、Dockerビルド時の依存関係インストールが2倍~4倍高速になることも珍しくありません。この速度を最大限に活かすため、Dockerfileのレイヤーキャッシュを意識した構成にすることが重要です。

本番環境では、セキュリティを考慮したマルチステージビルドを採用することをお勧めします。これにより、最終的なイメージサイズを削減し、不要なビルドツールを含めないようにできます。

本番環境向けのマルチステージビルドDockerfile(例)


まとめ:成功への5つのポイント

  1. 適切なプロジェクト構造: プロジェクトを独立させ、uv.lock がプロジェクトルートに配置されるようにする。
  2. Dockerfileの最適化: COPY uv.lock . を必須とし、レイヤーキャッシュを意識する。
  3. uvバージョンの選択: 0.8.0 以降の使用を推奨。
  4. 段階的な問題解決: エラーメッセージをよく読み、小さなテストで検証する。
  5. 継続的な最適化: パフォーマンス測定やコミュニティの情報を参考に、改善を続ける。

uvとDockerの統合は急速に進歩している分野です。この記事が、同じ問題で困っている開発者の助けになれば幸いです。
Happy Coding with UV + Docker! 🐍🐳✨

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